たまに、こわい夢を見るときがある。

蝕の祭、泣き叫ぶ人の声、そして……












『こころ』















そこは、真っ白な世界だった。
穢れなどなにも知らないとでもいうように、真っ白な世界。
そこに、静留はいた。
しかし、静留はいつも泣いている。
自分の肩を抱いて、ぽつんと一人で。
声をかけたいのに、かけられない。
腕をのばして、華奢な肩を力強く抱きしめたいのに、できない。
なにもできない自分に頭がきて、静留のそばに行きたい一身で進もう試みたが



暗転。





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「……また…この夢か…」



夢からの開放と同時に目に飛び込んできたのが、見慣れた自分の部屋の天井と使い古した家具たち。
そして、自分に寄り添って寝ている静留の寝顔。

(良かった…静留はここにいる。)

あれは夢だとわかっているのに、静留の寝顔を見ているとホッとした。
寝返りをうって、静留と向き合う形になる。





「……なぁ、静留。」

静留の起きない程度の小さな声で呼びかける。

「お前はなんで、一人で泣いているんだ?」

「私じゃ、お前の心の闇はなくならないのか?」

なつきはぼそぼそと、少し泣きそうになりながらも続けていった。
そして、涙を隠すように静留の頭に腕を回し胸にうずめる。




「静留…。私はどんなことがあっても必ずそばにいる。」

「ず〜っとだぞ?ず〜っとだ。」

寝ている静留にニカッと笑いかける。


「だから、一人で泣かないでくれ。二人で悩んだり笑ったり…自分だけの人生じゃない。二人でひとつの人生を歩みたい。」









「って…寝ているのに言っても仕方ないか…」

なつきはそういうと、静留を今度こそ力強く抱きしめてまた眠りについていった。



必死に泣き声を隠そうとしている静留の背中をゆっくりと撫でながら。